音楽業界の新たな潮流とアーティストの価値

皆さん、こんにちは。 今日は、音楽の提供方法がCDからストリーミングへと 移行した背景についてお話ししたいと思います。 スマホの普及により、 ユーザーのリスニングスタイルが大きく変化したことが、 その理由の一つです。

音楽業界は、当初からストリーミングに消極的でしたが、 リスナーを得るために仕方なく移行したというのが実情です。 そのため、一部のアーティストは 今でもストリーミングを拒否し続けています。 しかし、新人アーティストにとっては、 収益よりもより多くの人に聴いてもらうことが重要であり、 ストリーミングは欠かせない手段となっています。

その結果、従来のコンサートやタイアップで宣伝し、 CDで利益を得るスタイルは姿を消しつつあります。 現在では、ストリーミングでファンを増やし、 コンサートへと導き、グッズやTシャツで 収益を得る方法が主流となっています。

もちろん、タイアップやCM、 映画などから得られる収益も大きいですが、 そのためにはまずストリーミングで ファンを増やすことが大切です。 さらに、近年ではCDBOXやレコードの限定販売を通じて、 新たな収益を確保しようとする動きも増えています。

ストリーミング時代が長く続く中で、 一部のリスナーはアーティストとのつながりを感じたり、 所有する喜びを求めて、あえてCDやレコードを手に入れ、 専用プレイヤーで聴くことを楽しむようになっています。 これはリスナーの欲求なのか、 音楽業界の戦略なのかは一概には言えませんが、 現状では一定の効果を上げているようです。

日本では、推し活という文化の影響もあり、 CDショップが繁華街に残る稀な国となりました。 表紙やバージョンが異なるCDのバリエーション、 特典付きのCDなど、さまざまな工夫が凝らされ、 販売数を確保してきました。 しかし最近、音楽関係者の中には、 こうした特別なCD販売に 否定的な意見が増えているのが興味深い現象です。

確かに、日本では推し活によって ライブでの物販や特別なCDの販売が過熱し、 音楽そのものが二の次になっている状況もあります。 増え続ける商品に押し流され、 押し疲れ」という言葉まで生まれています。

こうした事象から感じるのは、 従来は音楽を消費してもらうことで成り立っていたものが、 今ではアーティストを消費することが 音楽の収益において大切な要素になっているということです。 以前から熱心なファンはアーティストを消費していましたが、 今ではライトリスナーも音楽そのものだけでなく、 アーティストを消費することが重要になっています。

AIやワンルームミュージックなど、 誰でも音楽が作れる時代において、 音楽そのものの価値は あまり重要視されなくなっているのかもしれません。 これからも音楽はアーティストが提供する作品の一つであり、 ファンは音楽やコンサート、グッズを通じて アーティストを消費し続けていくでしょう。

求められ、消費されるのは音楽ではなく、 それを創り奏でるアーティストであることを認識することが大切です。 この視点が、現在の音楽業界や音楽活動を考える上で 重要な分岐点になるのではないでしょうか。 それでは、また次回お会いしましょう。

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