日本の音楽とグローバルな言語戦略

こんにちは、皆さん。 今日は、日本の音楽が世界でどのように広がっているのか、 そしてその背景にある言語の壁についてお話ししたいと思います。

インターネットの普及により、 私たちの音楽体験は大きく変わりました。 今では、YOASOBIや嵐の楽曲が 世界中で楽しめるようになっています。 しかし、言語の壁は依然として存在し、 世界でヒットするためには克服しなければならない課題です。

1960年代から70年代にかけて、 日本の音楽界では英語派と日本語派の論争がありました。 内田裕也やモッブスは、海外でのヒットを狙うためにも 英語の歌詞を重視しましたが、 はっぴーえんどや岡林信康は母国語での表現を大切にする立場でした。 この論争は決着を見ないまま、 時代とともにうやむやになってしまいました。

昭和歌謡では、サビに英語のフレーズを取り入れるなど、 日本独自のスタイルが形成されましたが、 これは主に国内市場を意識したものであり、 世界的なヒットを目指したものではありませんでした。

現在、SNSの普及により、 日本の音楽が海外でも拡散していますが、 SNSでのヒットは一過性のものが多く、 特に海外では長続きしない傾向があります。 これは、日本語の音楽が 日常的に流れる環境が少ないことが影響しています。

音楽配信サービス、特にSpotifyやApple Musicでは、日 本語の楽曲がピックアップされる国が限定されてしまうため、 K-POPのように戦略的に配信を行っている アーティストたちとは異なり、 J-POPは大きく水をあけられているのが現状です。

例えば、Spotifyでは、楽曲を配信する際に 選択する言語が大きな影響を及ぼします。 日本語を選択すると、配信される国は数か国に限られますが、 英語を選べば200か国以上に配信されるのです。 このため、いくらSNSで人気があっても、 Spotifyでは聴けないという状況が生まれています。

そこで考えたいのは、 英語の曲として日本の楽曲を配信することです。 K-POPのように、言語設定を英語にする戦略が有効です。 ただし、全編英語である必要はありません。 サビやブリッジの一部を英語にするだけでも、 十分に英語の楽曲として通用します。

全体の30%程度を英語の歌詞にすることで、 言語設定を英語にしても問題なく配信できるのです。 特に、サビの半分を英語にしたり、 ブリッジの数行を英語にする工夫をすることで、 本編の歌詞はすべて日本語でも問題ありません。

Spotifyの発表によれば、 2024年に日本人アーティストが得た ロイヤリティの約半分は日本国外から発生し、 その多くが日本語の曲によるものだとされています。 この事実を考えると、言語を英語に設定できることや、 英語の歌詞として通用する楽曲を作ることは、 日本のアーティストにとって重要な選択肢となるでしょう。

もちろん、世界でヒットさせることだけが 音楽づくりの目的ではありません。 日本国内で誰かに届けばいいという気持ちも大切です。 しかし、もし音楽配信を通じて 多くの人に聴いてもらいたいのであれば、 言語設定を考慮した歌詞作りが不可欠です。

これからの日本の音楽が、 より多くの人々に愛されるためには、 そのアプローチが重要だと感じています。 それでは、また次回お会いしましょう。

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