皆さん、こんにちは。 今週は、より分かりやすいジャズとして、 ポピュラーミュージックに位置付けられる ネオリバイバルについてお話ししたいと思います。
このジャンルは、90年代に始まり、 30年代から40年代のビッグバンドジャズを 現代風に蘇らせるムーブメントです。 日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、 アメリカを中心に今でも人気を集めているスタイルです。
1989年に結成されたロイヤル・クラウン・レビューが ギャングスター・バップ」と呼ばれるサウンドを披露したのが、 この流れの始まりです。 そして、私の好きなビッグ・バッド・ヴードゥー・ダディーもこの年に登場し、 90年代にはリー・プレッソン・アンド・ザ・ネイルズや ラヴェイ・スミス&ハー・レッド・ホット・スキレット・リッカーズが 活躍を始めました。
彼らはジャンプブルースをベースにしながら、 ロカビリーやボーカルジャズなどを融合させ、 往年のジャズソングのカバーやオリジナル曲を披露しています。 そのサウンドは、まるでビッグバンドの時代を彷彿とさせるものです。
また、ストレイキャッツで一世を風靡したブライアン・セッツァーが 1992年にブライアン・セッツァー・オーケストラを結成するなど、 このムーブメントは徐々に成長していきました。 背景には、グランジ・ミュージックに対する反動として、 よりアップビートで洗練された音楽が求められたことがあります。
特に興味深いのは、彼らの多くがジャズ畑ではなく、 ロカビリーやパンク、ハードコアなどからこのジャンルにやってきたことです。 80年代後半からスカが再注目されたことも、ネオリバイバル人気の一因と考えられます。
日本では、一部のミュージシャンがジャジーなサウンドを取り入れたり、 スカパラがジャジーな曲を発表するなど、 90年代にハウスやテクノの人気をしり目に、 ポピュラーミュージックにおいてジャジーなサウンドが注目されていました。
97年には、スクイレル・ナット・ジッパーズのヘル」が ビルボードチャートに登場し、 アルバムホット』はプラチナ認定を受けました。 さらに、チェリー・ポッピン・ダディーズがリリースした スウィング・コンピレーションアルバム ズート・スーツ・ライオット』は 2000年にダブルプラチナとなりました。
そして、99年のスーパーボウルハーフタイムショーでは、 ビッグ・バッド・ヴードゥー・ダディーが スティービー・ワンダーやグロリア・エステファンと共演し、 その存在感を示しました。
このムーブメントは一度落ち着きを見せ、 メインストリームから姿を消しましたが、 最近ではEDMやヒップホップを融合させた エレクトロ・スウィングがヨーロッパなどで注目を集めています。
ネオリバイバルがメインストリームから外れて 20年以上が経ちましたが、 AlgoRythmikのショー・ブレイクスや、 イメルダ・メイのジョニー・ガット・ア・ブーム・ブーム、ラブ・タトゥー、 そして、日本のボカロpDyes IwasakiのTOKYO NEO SWINGなど、 影響を受けたアルバムがいくつも発表されています。
最後に、日本の代表的なネオリバイバルバンドをご紹介しましょう。 1930〜40年代のスウィングジャズやR&Bスタイルを奏でるBloodest Saxophoneや、 ニューオーリンズジャズの雰囲気を醸し出すThe TRAVELLERSなどがいます。
ジャズは難しい、モダンジャズやフリージャズはちょっと… という皆さんも、 昔懐かしいサウンドと今風のアレンジが楽しい ネオリバイバルをぜひ一度聞いてみてください。 そこには、ジャズの新たな楽しみ方が広がっていますよ。